あらゆるモノが飽和状態になって久しい日本。SDGsなどに代表される環境問題のムーブメントは時代と共に常にトレンドがありますが、一人一人が身を持って感じる「もったいない」という感覚は一周も二周も回って最近またなくなっている気がしてなりません。
自分でお店をするにあたり、懸念していたことが2つあります。
①ゴミをたくさん出してしまうのではないか。
②商品が徒に原材料を消費しているのではないか。
①について。会社員時代は毎日山のように出るゴミを目の当たりにしていて、それが結構ストレスでした。ゴミといってもリユースできるきれいな包装資材やちょっと直したら使える欠けたり傷がついたりして売り物にならない商品が大半だったので、それを高い事業用ゴミ袋に入れて捨てることに何ともいえない気持ちになったのです。でも、事業をやるということは多かれ少なかれゴミを増やすことになるのだと身を持って実感しました。
→ギフトを除いて包材はリユースすることにしました。ヒビ・欠け・割れ物はできる範囲で金継ぎします。
②について。たいていの雑貨屋には置いてあるうつわ。近年は作家さんも増えています。魅力的なものが多く私もうつわ自体が好きなので個展などに行くとついつい買ってしまうのですが、こんなに土を使い続けてなくならないのだろうかという疑問がふと湧いてきました。以前、仕事で丹波の窯元巡りをすることがあり、地元の方にお話をお伺いしたら、やはり土は年々採れなくなっていて歴史を見ると土がある場所を求めて移動している窯元もあると。テレビで伊賀の名窯、土楽の福森さんが軽トラで近くに原土を採りに行くも、昔あった場所にはもうないと話されているのも観たことがあります。うつわに使う土だけではなく同じ状況になっているものは他にもありそうです。
→何とかしたい。でも特にうつわは販売も個人的に所有もしたいということで、アンティークも扱う、金継ぎする、もう一つアイデアがあるので実行できないか思案中です。
こんなことを考えてお店作りをしたところで、小さな個人店が与える影響など微塵に過ぎないのですが・・・うーん・・・。
そんなとき、1点ずつ材質もサイズも形も違うカッティングボードを作られている作家さん、ろくやおん。の石田真帆さんに出会いました。そして、なぜこういう作品になっているかというお話を聞いて感銘を受けました。
石田さんは木の仕事についた当初は家具職人だったそうです(その前はなんと料理人!)。家具は作るときには必ず端材が出ます。その端材が余りにたくさん出るので自分はもう家具を作らずに端材を集めてそれで何かを作る側に回ろうと決心されたというのです。す・ば・ら・し・い!燃やしたりチップにされたりすることも多いという木端材。石田さんご自身もできるだけ出さないようにされているのでヘラやさじなどさらに細かいものも作られています。木への愛情からもったいないという思いに至った結果、作品としても見事な唯一無二のものが生まれている、なんてすてきな連鎖でしょう。
作りたいものがあるから必要な材料を調達するのではなく、今目の前にある材料で何ができるかを考える。一見不便なようですが、逆に楽しみにさえなり得るのではないでしょうか。リクエストするのではなく今採れるものが届く路地栽培の野菜で料理する感覚に似ているのと、石田さんの作品を見てそう思いました。
というわけで千差万別、多種多様、十木十色のカッティングボードがたくさん入荷していますのでぜひ見にいらしてください。また機会をみて1点ずつご紹介します。
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