自分でお店をするとなったとき、最初は紅茶専門店にしようと思っていたくらいなのに、思いがけない出会いやらタイミングやらでいつの間にかそれ以外のものが増え、世界一の紅茶生産国であるインドの紅茶が一つもないままオープンしてしまいました。
が、そんな当店にも満を持してインドの紅茶が入荷しましたので、一つずつ紹介していきます。言いたいことがたくさんあるので長くなります。
まずはだいたいの方が聞いてもどんな味かピンとこないであろう品種の代表、ニルギリ。日本ではマイナーかもしれませんが、インドではダージリン、アッサムとともに三大紅茶とされている品種です。
なぜ最初にニルギリかというと、これからの季節を考えてのことでして、当店で扱っている紅茶の中では一番アイスティーに向いているからなのです。理由は後ほど。
ブランドはインドで最初に作られた銘柄、SAN-CHA(サンチャ)です。サンチャという日本語のような名前は、インドにある世界遺産となった地名、Sanchi(サーンチー)と「茶」を合わせた造語。アジアで生まれたお茶文化を世界に発信するという思いを込めてつけられたそう。ラベルにも遺跡のマークがありますね。ちなみにサーンチーにはお釈迦様の骨が埋葬されていると言われているそうです。
遺跡のマーク以外にもラベルの中に、これでもかといわんばかりの情報が詰まっていますので説明していきます。
①「Nilgiri Mountain Tea」と山脈
ニルギリとはブルーマウンテン(青い山)の意。なので山脈が描かれています。紅茶の名前は他も全般そうなのですが、基本、地名です。こちらも例に漏れず、標高1,000m超えのニルギリ高原で作られています。
②「Aap ki pasand」
アパ・キ・パサンドというSAN-CHAブランドを作る会社の名前です。
③「Officially Certified」と「Master's Choice」
「インド政府から正式に認定された」「紅茶鑑定士によるセレクト」の意。アパ・キ・パサンド社にはサンジャイ・カプールというインドが世界に誇る、政府御用達のカリスマ紅茶鑑定士がいまして、彼がセレクトした紅茶ということです。カプール氏が選定する紅茶は、自国の首相から他国の皇族や大統領などへの贈り物にされることも多いそう。
④「Naturally Lemony」
このニルギリの味を一言で表しています。「自然なレモン風味」とある通り、飲むと直後に柑橘系の風味がぱあっと口の中に広がります。
⑤「Net wt. 6gms」
袋などを含まない正味6g入りという意味です。
6gはカップだと2杯分、ポットだと1回分の量です。このパックの半量が1杯分として、ホットのストレートティーだとちょっと濃いので、2.5〜3杯分くらい淹れられると思います。
手のひらに乗せるとこんなです(私の手は小さい方)。ちょっとだけ試してみたい方や普段はティーバッグ派だけど稀にポットで淹れる方、またティーポットをお持ちの方へのちょっとしたギフトになど気負わず買えるいいサイズかと思います。紅茶、特にリーフは一度開封したらできるだけ早めに飲み切った方がいいので、決まった品種を日常的に飲む方以外はこのくらいのサイズでいいのではないでしょうか。
茶葉はダージリンなどと比べると小さめなので蒸らし時間は3分くらいで大丈夫です(あまり長く置きすぎると渋味が強くなるので注意)。アイスティーにする場合もお湯の量を減らすだけで茶葉の使用量は同じ1杯分なら袋の半量、2杯分なら全量です。それを氷を入れたグラスに直接注ぎます。
ニルギリがなぜアイスティーに向いているかというと、冷たくしても濁りにくいからです。茶葉からアイスティーを淹れたことがある方なら経験があるかもしれませんが、熱い紅茶を氷が入ったグラスに注ぐと変色して白濁することがあります。これを「クリームダウン」と言って、味は変わらないのですが見た目がよろしくないのであまり好まれません。クリームダウンは紅茶に含まれるタンニンという成分が多いほど起こりやすい。ニルギリはタンニンが少ない品種。なので濁りにくいというわけです。
もちろん、冷たくしても風味が損なわれないという理由もあります。柑橘系の風味ですが、クセのない味なのでフルーツと相性がよく、アールグレイに使われていることもよくあります。あ、アールグレイは紅茶の品種ではないということをご存知でしょうか。この話も長くなるのでまた別の機会に・・・。個人的にはイタリアン、フレンチ、中華など濃いめの料理を食べた後にホットのストレートで飲みたいニルギリですが、アレンジティーにも向きますしオールマイティーだと思います。まずは1杯、お試しを。
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