5月も半ば、暦の上でも立夏を過ぎたというのに朝晩はまだ肌寒く感じます。今朝はまた熱いミルクティーを淹れました。
イギリス人でもないのに(近頃はイギリス人も紅茶よりコーヒー派が多いらしいですが)、よく飽きもせず毎日毎日紅茶を飲んでるなあと独言てしまいました。両親ともコーヒー派の家で育ったのになぜ紅茶を好きになったのか今さらながら不思議になったので、自分の中の紅茶の記憶を辿ってみたいと思います(誰が興味あんねん案件ですが、もし読んでみようという奇特な方がいらっしゃいましたらおつきあいくださいませ)。
一番幼い紅茶の記憶は母方の祖母が好きだったレモンティー。私はこの祖母が大好きだったので無意識の内に影響を受けていることがいくつかあるのですが、真似していたら好物まで同じになってしまったのがざる蕎麦とレモンティー。祖母と買物に行くと必ずお昼はざる蕎麦で、帰りには喫茶店に寄ってレモンティーを頼んでいました。たまに行くモーニングでもレモンティー(大阪なのでしょっちゅう喫茶店に行く文化)。祖母宅の、妙に目立つリプトンイエローラベルのある台所の風景も目に焼きついています。いつからか自分も喫茶店では必ずレモンティーを頼むようになっていました。小学校にあがる前のことなので少しグラニュー糖を入れて飲んでいたと記憶しています。
その次は小学生の頃の愛読書「魔法使いのチョコレートケーキ」(マーガレット・マーヒー作/石井桃子訳/1984年/福音館書店)の中に出てくる紅茶。魔法はへたっぴ、でも料理の腕はすこぶるいいひとりぼっちの魔法使いが得意のチョコレートケーキを焼いてパーティーを企画するのですが、招待しても誰も来てくれず、代わりに植えたりんごの木を話し相手にお茶をするようになります。そこで飲んでいるのが紅茶で、そのおいしそうなこと!その頃の私は甘いものが苦手で自分のバースデーケーキも食べられない子どもだったのですが、りんごの木の下で食べるチョコレートケーキと紅茶のティータイムには憧れました。しかも毎日朝と午後に、上等なお盆にティーセットを乗せて、です。このお話が大好きでまた紅茶が好きになりました。
三番目はイギリスにかぶれるようになった要因でもある、高校時代に通っていた英会話教室の先生の影響。ケンブリッジ大学卒の英国紳士で、紅茶をよくごちそうになりました。ポリッジを作ってくれたこともあったなあ。この教室で教科書からではなく先生から一番最初に教わり、覚えたフレーズが「Would you like a cup of tea ?」だったのです。
その後、大学時代に初めて行ったイギリスで飲んだ紅茶のおいしさにさらに目覚めてからウン十年、現在に至ります。
紅茶は、淹れるときはスピーディー、でも飲む時間はゆったりと感じられるのも性に合ってるなあと思います。
ところで、ひとりぼっちの魔法使いはハッピーエンドの物語です。数分で読める短編で、お店のイートインスペースに置いていますのでぜひ紅茶片手に読んでみてください。装丁や挿絵もすばらしい児童文学の名作です。
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