日本六古窯の一つである瀬戸発、25年以上愛され続けている磁器シリーズmoderato(モデラート)から、今日はホワイトカラーのカップにスポットを当ててご紹介します。
普遍的なデザインで世界中で愛されている北欧食器の定番といえば、フィンランドのカイ・フランクがデザインしたARABIA(現・IITTALA)社のTEEMAですが、個人的にmoderatoはカラーバリエーションこそ2色しかないものの、日本のTEEMAと言えるのではないかと思っています。そのくらいシンプルで使いやすくて飽きのこないタイムレスな逸品。
デザインされたのは、陶磁器の他にも家具や生活用品を手掛けるプロダクトデザイナーの荻野克彦さん。荻野さんは1944年生まれ、武蔵野美術大学で陶磁器を学ばれたあと、独立。先述のカイ・フランクが顧問をしていたクラフトセンタージャパンの理事を勤められていたこともある方です。なんと、カイ・フランクと繋がりがあったのですね。シリーズ名のmoderatoとはイタリア語で「適当な」という意味。音楽の速度標語では「中くらいの速さで」を指示しています。高度成長期から経済一辺倒で来た日本がふと立ち止まると「これでいいのか?」と不安になり図らずも不況の始まりとなった製作当時、何はともあれmoderatoで一服しながら「自分の価値のものさし」を改めて計り直してみてほしいというエールを込めて名付けられたそうです。「自分の価値のものさし」、SNSに左右されがちな現代にも必要な言葉だと感じます。
では、まずは以前にもご紹介したシュガーポットだけど蓋付きマグカップとして人気のこちら。
下のポットがカップ&ソーサーのカップと全く同じものなのでマグカップとしてご提案しているのです。ティーバッグでお茶を淹れたときに便利。蓋にはお砂糖やお菓子を置いてもいいですね。
溝があるのでスプーンもぴったり収まります。
1点ずつ手作業で型から外し、成型されているため、縁の形が正円ではないのです。そこがクラフトとプロダクトの間という感じでいいなあと思います。ぜひ実物でご確認ください。
次はカップ&ソーサー。カップは上のものと同じで容量239mlですが、実質的には220mlでいっぱいです。
このカップ&ソーサーのいいところはソーサーにカップを固定するためのくぼみがないことです。フラットなのでお菓子のプレートとマグカップとしても使えます。シンプルなのでソーサーだけ他の食器と合わせても違和感がなさそうです。別で全く同じサイズでプレート(S)としても販売しています(お値段は最後に)。
全体的に厚みがあるため冷めにくいのですが、飲み口のところだけ少し薄くなっているのでとても飲みやすい。よく考えられているなあと感心します。最後はマグカップ。こちらはかなり大きめで容量326ml、実質300mlくらいです。たっぷり飲みたい方、特にミルクティーやカフェオレなどのときは大きい方がいいと思いますのでこちらがおすすめ。ギリギリまで入れて片手で持つと重みを感じるのですが、持ち手の凹み部分に親指がちょうど入って安定して持てるので非力な方でも問題なしです。
持ち手が一体型になっているこのデザイン、元は作る人のことを考えてのこと。というのも、日本の湯呑みには持ち手がなく、カップを作るようになってからは持ち手だけを後付けするという手法で作られていました(今も大半がそうだと思いますが)。戦後の復興期、大量に輸出品を作っていた時代にそれだと手間がかかる割に持ち手だけ取れてしまうことが多くて大変だという苦労話を耳にされた荻野さん、一体型なら解消されるのではとこのデザインを考えついたそうです。結果、作り手にも使い手にもやさしいハンドルとなり、ロングセラーとなっている、なんてやさしい世界・・・。お店でお出ししているホットティーはミルクを入れる場合だけこのマグカップに入れています。量が多すぎるかなと思ったのですが、たっぷりがうれしいというお声の方が多かったのでこれでいきます(通常サイズがいい方はそちらに変更も可能)。ソーサーは別売りのプレート(S)です。
シュガーポットのポット=カップ&ソーサーのカップ、プレート(S)=カップ&ソーサーのソーサーと単体での買い足しがしやすい考慮がされています。最近価格改定されましたが、品質の割には良心的なお値段だと思います。
moderato ホワイト (電子レンジ・食洗機使用可能)
シュガーポット(蓋付きマグ) ¥3,850
カップ&ソーサー ¥4,180
マグカップ ¥2,750
プレート(S) ¥1,760
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