これは大発見なのではないかと思っているグラスをご紹介します。地元(伊・フィレンツェ)では昔からある安価な定番品に過ぎないのですが、よくよく見れば、そして使えば、今までなぜデュラレックスのピカルディやボデガのように日本に入って浸透してこなかったのだろうと不思議なくらい。それが日本に安定して輸入されるようになって少しずつ注目されている。日本の雑貨屋の定番になり得る、業界的には大発見だと思うのです。
それがこの何の変哲もないシンプルなグラス、ウィーンとマルコです。
イタリアの老舗グラスメーカー・Borgonovo(ボルゴノーヴォ)社製。
ぱっと見にキャッチーな特徴がない=映(ば)えないのは今はあまり好まれない傾向にあるのは知っています。でもこれは定番で扱っていきたいと強く思いました。
最初の写真左側がウィーン。1970年代には作られていたという古いデザインのもので、全体的にぽってりと厚みがありサイズの割に底もかなり重厚。小さめなつくりと程よい重みが手にしっくり馴染んでとても持ちやすいです。
素朴でチープな雰囲気のコップ、これが意外や意外、ワイングラスなのです。フィレンツェ周辺では大昔から仕事を終えた職人や漁師が昼間からキャンティ(伊・トスカーナの赤ワイン)を飲むことがよくあり、その時に供されるグラスワインに使っていたのがウィーンだったそう。
ワインといえば背の高い、ステムがついた、薄口の繊細なグラスを思い浮かべてしまいますが、普段飲むときに使うのは気取らないこんなコップだったのですね。今もこんな感じやこんな感じでワインもお水もこのグラスで出てくるトラットリアもあります。
(せっかくなのでキャンティを用意したかったのですが、家にあった飲みかけのワインがフランス製でした)
高価なヴィンテージワインのときは繊細な薄いグラスで飲みたいですが(私にはそんな機会はないですが)、手頃なカジュアルワインは厚めの飲み口がよりおいしくしてくれます。実はこのグラスに出合うずっと前、手持ちの琉球ガラスでできた同じように分厚いタンブラーに赤ワインを入れたらおいしそうだなとふと思ったことがありまして、試したことがあります。それが正解で、とろんとした見た目も味もとてもよかった。
ただ、ワインに詳しくないので自分の体感でですが、白は違う気がしました。赤に限ります。
そういえば!紅茶を飲むときもストレートは薄口の磁器がいいけれど、ミルクが入るとぽってりとした陶器でもいい。日本酒も純米吟醸酒なんかは薄口がいいけれど、ワンカップは厚めですよね。容れるものによって味が変わるというのは実際ありますし、なんとなく理にかなっているような気もします。
さて、もう一方のマルコはウィーンの弟分です。口径や高さはほぼ同じ、底の厚みがない分少し軽く容量が多くなります。
全体の厚みも変わらないのですが、底が薄い分ウィーンより軽やかな印象。Borgonovo
ウィーン135 φ6.4×H8.8cm 130cc ¥836
マルコ145 φ6.4×H8.6cm 145cc ¥517
共用フタ φ6.5×H1.2cm ¥55
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