「おいしくてかわいい」というのは、食べ物や飲み物の中で、もはや一つのジャンルでいいのではないかというくらい重要な事項であります。そして、幸せなことに巷には「おいしくてかわいい」ものが増え続けております。
でも、そのほとんどがスイーツなんですよね。甘いもの以外に「おいしくてかわいい」ジャンルに属するフードがもっとあったらいいのになあとぼやいていたら、これだというものに出合いました。食品の取り扱いは紅茶に合うものだけにしようと決めていたのにあまりのおいしさに入れてしまった、魚介の缶詰です。
作っているのはデンマークの小さなクラフト缶詰メーカー・FANGST(ファンスト)。FANGSTとはデンマーク語・ノルウェー語で「捕まえる」という意味です。
100年ほど前までは北欧の海岸沿いには数多くの缶詰会社が存在し、優れた保存技術の伝統があったそうですが、ここ数十年の間にほぼ消滅してしまいました。しかし、海域には今も世界最高級の魚介類が生息しています。そこでデンマークのレストランで長年経験を積んだオーナーがこれらの優れた海産物を世界へ広めるため、2018年にFANGSTをスタート、現在に至ります。
パッケージは紙のボックスに入ったさすがのスカンジナビアデザイン。至極シンプルだけど洒落ています(日本には絶対ないタイプ。Why Japanese デザイン people !?)。
今回は(左上から時計回りに)ムール貝・タラのレバー(肝)・サーモン・スプラット(オイルサーディン)の4種類をご用意しました。
缶詰と侮るなかれ。どれも本格的な味わいで後を引くおいしさです。その分缶詰にしては値が張りますが、それだけの価値があります。後日、順に詳しくご紹介していきますが、今日は私のイチオシ、タラのレバーです。
レバーの品質基準が極めて高いという理由でアイスランド産のものが使われていて、そのほかの材料は有機菜種油・塩のみ。レバーは天然のブナ材で軽く燻してから少し塩をして菜種油に漬け込んでいるだけです。これでこんなにおいしいのだから素材の良さが知れるというもの。
日本でメジャーなあんこうの肝臓、いわゆる「あん肝」に似ていますが、タラ肝の方が食感がふわっとしていて若干さっぱりしています。とはいえ、コクがあってクリーミー。「海のフォアグラ」とはよく言ったものです。
まずはこのままティースプーンで少しだけすくって口に入れてみてください。歯を使わずになくなり、濃厚な旨みと油の香ばしさがぶわ〜っと広がる・・・唸ってしまいましたよ。そして、パンの上に乗せて食べ始めると止まらなくなるのです。まあまあたっぷり入っているので(私にとっては)大変危険な食べ物です。
合わせるパンはバゲットでも食パンでもいいですが、おすすめは少し酸味のあるカンパーニュやサワーブレッド。タラ肝を乗せて食べる場合、重要なのは目が詰まっている生地であることです。なぜなら使われている菜種油を逃さず全量吸わせないといけないからです。
この菜種油、缶詰の油にしておくにはもったいないくらいフレッシュな味!と思ったので調べましたら、デンマークとスウェーデンの農家から直接仕入れた有機菜種を使用し、さらに低温圧搾製法(※)で作られている自家製だそうです。この油だけでも売ってほしい。もし残ったら、ぜひ酢やビネガーなどの酸味を足してドレッシングに使ってください。
※「低温圧搾」がいかに貴重で尊い製法かを書き出すとすみません、今日は終われなさそうですのでご存じない&ご興味のある方はぜひ検索してみてください。
パンに乗せるだけでも十分満足できる食べ方なのですが、ピクルスをはさんでみました。ピクルスの酸味がタラ肝の旨みにばっちり合う。お買い上げいただいたお客様にお伺いしたら、柚子を絞ったらおいしかったと。やはり濃厚なので酸味と相性いいようです。あん肝同様、和食にもなります。王道のネギを散らしてポン酢はもちろん、そのままでも日本酒のこの上ないアテになります。
お土産やプレゼントがいつも以上に甘いものになるシーズン、日持ちがして手軽に食事として食べられるこんな贅沢な変わり種も喜ばれるのではないでしょうか。ギフトにする際はぜひ油も召し上がるよう、忘れずにお伝えしてくださいね。
FANGST
ムール貝 ¥1,296
タラのレバー(肝) ¥1,296
サーモン ¥1,404
スプラット(オイルサーディン) ¥1,080
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