アイスティー考

紅茶は(日本茶やコーヒーも)本来お湯で抽出して温かい状態で飲む飲料です。お茶が飲まれ始めたのはいつなのかは古過ぎて正確には不明ですが、記述が残っている世界最古の茶の専門書「茶経」が書かれたのは8世紀なので、少なくとも1300年以上の歴史がある。それに対してアイスティーが生まれたのは1904年といわれているのでここ120年くらいのことです。

さらにアイスティーが最初に飲まれ始めたのはアメリカで、ヨーロッパでは今も紅茶を冷やしては飲まないと聞きます。紅茶大国のインドやスリランカでも一般的に飲まれているのは熱いチャイ。

そんなこともあってか温かい紅茶と違い、アイスティーのおいしさで感動することは今までの人生でもほぼなく、紅茶好きだけどそれはホットで飲むときの話でアイスティーはどこで飲んでもまあこんなものかなという感じで来てしまいました。

実際、アイスティーをおいしく淹れるのは本当に難しい。紅茶の雑誌「Tea Time」Vol.4のアイスティー特集でこの問題をカレルチャペックの山田詩子さんも憂いておられました。

しかし、お店を始めるにあたり、香りが強めのホットティーに氷を入れただけではない、きちんとおいしいアイスティーを提供・提案したいと思いいろいろと試しました。

まず、アイスティーにするには茶葉の向き不向きがあります。ホットでおいしい茶葉であれば何でもいいというわけではないのです。クリームダウン(紅茶を冷やすと白濁すること)も家で飲む分にはいいけれどお店では避けたい。色も楽しみたいとなると必然的に茶葉が絞られました。当店では、今のところインドのニルギリか静岡のタダニシキの二択。スリランカのシングルオリジン(ブレンドではない単一品種)も味はいいのですが、クリームダウンすることがあるので淹れ方をまだ試行錯誤中です。

ベストな淹れ方は山田さんもご紹介されている通り、「オン・ザ・ロックス方式」と呼ばれる熱々を氷を入れたグラスに直接注ぐ方法。茶葉は通常量、お湯を氷の分(半分くらい)減らします。おいしいアイスティーには急冷が必須なのです。
あと、家庭用冷凍庫でできる四角い氷ではなくロックアイスを使うこと、淹れてから一呼吸置くこと、ストローを使わないで飲むこと、直接口をつけるので自分が心地よいと感じる口当たりのグラスを選ぶこともおいしくする秘訣かもしれません。ちょっといいワイングラスを使うのもおすすめです。

水出しができる茶葉もありますが、衛生的な問題(特にここ最近の暑さは異常です)と成分の抽出問題があるため、やはりお湯で蒸らす過程を省かずに淹れることをおすすめします。

初心者さんや失敗したくないという方はMITSU TEAのハウスブレンドもおすすめ。ぜひ自分で淹れて、好みを探ってみていただきたいです。

紅茶の雑誌「Tea Time」も店頭にございますのでぜひ読んでみてくださいね。

Tea Time Vol.4 ¥880

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